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1ページ目:カモノハシあれこれ
2ページ目(このページ):カモノハシの形態と生態
3ページ目:カモノハシの繁殖・成長・寿命
カモノハシの形態と生態
生息地域
先述した通りカモノハシはオーストラリア東部とタスマニアにのみ生息しています。
カモノハシは半水生生物で、タスマニアの寒冷な高地からクイーンズランドの熱帯雨林、山間部の小さな流れから開けた本流、農場の溜池から広大な湖まで広範囲にわたって生息しています。
クチバシには超能力が!
カモノハシは水中では目を閉じています。ではどうやって獲物をさがしているのか?
カモノハシのクチバシには獲物からわずかに発せられる電流を感知する器官が備わっています。
これはロレンチーニ器官と呼ばれ、サメやエイなどにも備わっている器官です。この器官は主に水中で獲物をさがす役割を担っています。
カモノハシはクチバシで水底を掘り返し、出てきた獲物の筋肉から発せられる微弱な電流を感じて獲物を発見、捕食をしています。

水の中で目を閉じているけど僕のクチバシが食べ物をさがしてくれるよ。
食べ物
肉食で主にミミズ類や昆虫(主に幼虫)、エビやザリガニなどを捕食して食べています。
カモノハシはそのクチバシで川底からそれらの獲物を掘り起こして食べるか、泳ぎながら水中にいる獲物を捕食しています。
カモノハシは一日に体重の20%の食事をとらなければなりません。そのため毎日平均12時間を食事さがしに費やしています。
必殺仕事人・カモノハシの毒針
カモノハシは雌雄両方の後ろ足の足首に爪があります。そしてオスのそれには毒があります。
人間を殺すほどの毒ではないのですが、犬程度の大きさであれば死に至らしめることも可能です。
もしその毒爪に刺されたら我慢できないほどの激痛が襲ってくるそうです。刺された個所から急速に浮腫み始めて徐々に全身が浮腫んでいくようです。
痛みは数日から数か月間続き、ある例では刺された個所が生涯痛み続けたということです。

僕を捕まえようなんて考えないことだね。手を出したらチクっと刺しちゃうよ。
何時ごろが一番出会えるの?
主に早朝や夕方の薄暗い時に活発に活動します。日中は巣穴に籠っていることが多いです。しかし先述したように一日12時間程を捕食に費やしているので、日中でも全然姿を見かけないということはありません。
実際、釣りの最中に結構な頻度でカモノハシに出会うことがあります。「ポチャン」という音が聞こえて、トラウトかと目を凝らすとカモノハシだったなんてことは釣り人のあいだではよく聞く話です。
また、カモノハシは群れるこをせず単独で行動する動物です。一匹みつけたからと、仲間をさがそうと辺りを見回してもその近辺には他のカモノハシはいないでしょう。

野生の僕らを見たいならとにかく実績のある川沿いへ行ってみて。いる時にはすぐに見られるよ。逆にいない時は何時間待っても出てこないけどね。
巣はどこにあるのか?
カモノハシは水辺に穴を掘って巣としています。入り口の直径は約30 ㎝ほど。 巣穴の入り口は水中にある場合もあり、かつ植物などで隠されているため発見することは非常に難しくなっています。
大きさ
オス | メス | |
最大全長 | 63 cm | 55 cm |
平均全長 | 50 cm | 43 cm |
体重 | 1~3 kg | 0.7~1.8 kg |
地域によって平均サイズが大きく異なります。この違いは気候条件などの要因ではなく
食べ物や人間の侵入など、他の環境要因により平均サイズが異なる可能性があるそうです。
体温
平均体温は32℃と普通の哺乳類に比べると低体温です。
これは過酷な環境で生存してきた単孔類がその進化の過程で適応してきたものと考えられています。
体毛
カラダと広く平らな尾は褐色から茶褐色の密度の高い体毛に覆われています。
その体毛で空気の層を作って水の冷たさから体が冷えるのを守っています。
尻尾

カモノハシの平たい尻尾は脂肪を蓄えておくことができます。尻尾の部分に脂肪を蓄えておく動物は他にはタスマニアデビルが良く知られています。

僕らも尻尾の付け根に脂肪を蓄えているよ。僕らの解説記事も是非読んでね。
歩いて移動できるよ
カモノハシは泳ぎが得意なだけではありません。地上を歩いて移動もします。
その歩き方はユニークで、前足が地面に着く時に水掻きのある指を後ろに折りたたむようにして移動します。
カモノハシは農場内の溜池などでも生息していますが、餌が少なくなったり水質が悪化したりすると他の場所へ歩いて移動します。
目・鼻・口
カモノハシの細長い鼻と下顎は柔らかく、これらがカモノハシの特徴であるクチバシを形作っています。
カモノハシの成体には歯がありません。
鼻の穴はクチバシの表面にあり、目と耳はクチバシのすぐ後ろにある溝にあります。
この溝は水泳時に閉じられます。
そのことからカモノハシは水中では目を閉じて獲物をさがしているのです。
潜水時間
通常カモノハシは約30秒毎に水面に戻って息継ぎをします。もう少し長く潜っていることもできるようですが、約40秒が限界であろうといわれています。
約10秒~20秒間、水面をプカプカ浮かんで空気を吸ってから再び水中へと潜っていきます。
運よく野生のカモノハシを見かけたら、水中での移動を予想してみてください。次に浮かび上がった場所が予想よりも遠いのに驚かれるかもしれません。

僕らは水中に潜って水底をクチバシで掘り返しながら獲物をさがしているんだよ。