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1ページ目:カモノハシあれこれ
2ページ目:カモノハシの形態と生態
3ページ目(このページ):カモノハシの繁殖・成長・寿命
カモノハシの繁殖・成長・寿命
メスが一生懸命に巣作り & 子育て
カモノハシの繁殖期は場所によって多少の違いがありますが、6月~10月です。繁殖期になり交尾を済ませたメスは巣穴の拡張工事を始めます。メスは巣穴をより深くより長く(最大20 mの長さ)掘り、巣穴の奥に枯れ葉などで産卵と子育てのための柔らかいベッドを作ります。
*この繁殖期の巣穴作りについてはあまりよくわかっておらず、今現在も研究が進められています。
妊娠期間は2週間~4週間。1~3個(通常は2個)の卵を産みます。メスは卵を抱きかかえ、自分の尻尾にクチバシをつけて丸まって温めます。
そして約6日~10日後に赤ちゃんカモノハシが卵からかえってきます。
この一連の作業中オスは一切手を貸しません。手を貸さないどころか交尾が終わると後は知らんぷり、自分の巣へとさっさと帰ってしまいます。

俺だっていろいろと忙しいんだよ。別に知らんぷりしてるわけじゃないし。
オスの仕事
子育て用の巣作りと子育てに一切手を貸さないカモノハシのオス。それではオスは何をやっているのでしょうか。
オスはある程度の長さのテリトリーを持っています。そのテリトリーの中に5匹~10匹程度のメスが暮らしています。これらのメスはそのテリトリーを持っているオスの彼女たちなんです。
オスの仕事は自分のテリトリーを毎日パトロールして、他のオスが入ってきていないか、他のオスが自分のメスを横取りしていないか、をチェックすることです。
他のオスがテリトリーに入ってきたのに気が付くと、オスは侵入してきたオスに襲い掛かり、相手のカラダに巻き付いて水中へ沈めて溺死させることもあります。
または相手に巻き付いて毒針を何回も刺して殺すこともあります。
更には浮気をしたメスに対しても上記の方法でメスを殺してしまうこともあります。

俺は独占欲が強いのさ。浮気相手も浮気した彼女も両方とも許さないぜ。
ちょっとかわった授乳方法
カモノハシは生まれてくるときは卵からですが、おかあさんの母乳で育てられる哺乳類です。カモノハシのおかあさんにも他の哺乳類同様、乳腺はあります。しかしカモノハシのおかあさんには乳首がありません。ではどうやって赤ちゃんカモノハシに母乳を与えているのか?
母乳はお腹の毛穴などからジワジワっと染み出させています。染み出てた母乳はお腹の溝に溜まり、赤ちゃんカモノハシはそれをペロペロとなめて食事をしています。この授乳方法は同じ単孔類仲間のハリモグラも同様です。
赤ちゃんカモノハシの成長過程
産まれたばかりの赤ちゃんカモノハシには歯がありますが、すぐに落ちてなくなってしまいます。
授乳期間は約5週間。
授乳期間も終わりが近づくと、それまでほとんど巣穴から離れなかったお母さんは徐々に外へ出る時間を増やしていきます。
だんだんと子供カモノハシの巣立ちの時が迫ってきます。
そして約4か月後、幼い子供カモノハシは巣穴から旅立っていきます。
その後子供カモノハシは12か月~18か月で成体へと成長して、約18か月で卵を産むことが可能になる大人へと成長していきます。
寿命
カモノハシは小さい哺乳類としては寿命が長いことで知られています。
野生の個体で平均10年前後、飼育されているもので平均15年前後といわれています。
しかし中にはもっと長生きしたという個体も存在し、野生の個体で20年以上、飼育されているもので23年近く生きていたという記録があります。
カモノハシを見に行こう
タスマニアにはカモノハシと、同じ単孔類のハリモグラを手軽に見られる水族館があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。