【絶滅危惧種】タスマニアデビルをもっと知ろう

タスマニアに住む生き物たち
タスマニアに住む生き物たち

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1ページ目:タスマニアデビルの一般情報
2ページ目:タスマニアデビルの生態
3ページ目(このページ):タスマニアデビルの妊娠・出産・子育てそして絶滅危惧問題

タスマニアデビルの妊娠・出産・子育て

繁殖期

タスマニアデビルのメスは通常2歳ごろになると妊娠できるようになります。

ただし後述しますが現在タスマニアデビルは絶滅危機に瀕しているので、子孫を増やしていこうとする野生の適応能力で最近では1歳ごろから妊娠できる個体があらわれています。

デビルの繁殖期は3月から4月頃最近では6月頃までという個体も)です。

メスは繁殖期の前の春から夏の間に餌を大量に消費して体を太らせたて妊娠の準備を始めます。

デビル
デビル

妊娠・子育ては体力勝負よ!ガリガリに痩せてたら子育てなんかできやしないの!!

出産、そして生き残りをかけての競争

タスマニアデビルは一夫一婦制ではありません。

オス・メス共に複数の相手と交尾をすることが知られています。

妊娠期間は短くてたったの21日間

重さ約 0.2 g米粒大の赤ちゃんを20~30匹産みます

タスマニアデビルも有袋類ですから生まれたばかりの米粒大の赤ちゃんはお母さんの袋の中へ自力で移動しなければなりません。

これだけ多くの兄弟姉妹がいても袋の中の乳首は4つしかありません。

早い者勝ちの最初の4匹だけがお母さんのおっぱいのもとへたどり着き、たどり着けなかった赤ちゃんはお母さんに食べられてしまいます。

デビル
デビル

野性の世界は厳しいの。産まれた瞬間から競争よ!!

無事にお母さんの袋の中に入った赤ちゃんたちも全部が成長できるとは限りません。

平均して野生のデビルでは1~2匹、飼育下のものでも2~3匹の赤ちゃんたちが無事に成長できます。

デビル
デビル

タスマニアデビルの赤ちゃんはジョーイ/ joeys(有袋類の赤ちゃん)、パップ/ pups(子犬)、インプ/ imps(小さな悪魔)と呼ばれるよ。

成長から独立へ

袋の中の赤ちゃんたちは90日経つと毛も生え揃ってきます。

その後ようやく目が開き、しっかりと咥えていた乳首を少し緩めることができるようになります。間もなく袋の外へ出る時間です。

生後105日経つといよいよ赤ちゃんデビルはお母さんの袋の中から出てきます。

約0.2 gだった体重は1000倍の約200 gになっています。

袋から出てきた赤ちゃんはしばらくは巣穴から外へ出ようとしません。約3か月間を巣穴で過ごした赤ちゃんたちは10月~12月頃になるとお母さんと一緒に巣穴から外へ出始めます

この時期にワイルドライフパークなどへ行くとポッサムやコアラみたいにお母さんデビルの背中に乗っている赤ちゃんデビルを見られることがあります。

しばらくはお母さんのミルクを飲んで育ちますが1月になると一人前の若者デビルとなって独立し巣立っていきます。

妊娠から巣立ちまで約9~10か月を要しますのでメスは一年のほとんどの時間をを子育てに使っています。

メスは生涯に4回の繁殖期と平均して12匹の赤ちゃんを育てています。野生の寿命を5年とすると生涯のほとんどを子育てに費やしていることになります。

デビル
デビル

私の使命は赤ちゃんを産んで立派な若者に育てること。わが人生に悔いなしよ。

タスマニアデビルの絶滅危惧問題

最初の絶滅危惧

白人たちがタスマニアへ入植してきて羊や牛などの家畜の飼育し始めました。

またポッサムやワラビーなどを使って毛皮製品の制作なども行っていました。

その当時入植者たちによって”デビル”と名付けられた動物はそういった家畜や毛皮のための動物の脅威とみなされていました。

そのためタスマニアデビルを駆除することはタスマニア州政府の方針でもありました。

タスマニアデビルは人間により狩られあっという間に個体数が減少して絶滅の危機に瀕してしまいました。

幸いにも人間たちはこの動物を1936年に絶滅したタスマニアタイガーのようにしてはいけないと気付き、1941年6月に公式に保護動物に指定されています。

タイガー
タイガー

僕はタスマニアタイガー。別名フクロオオカミ。僕らは絶滅させられたけどタスマニアデビルたちが絶滅させられなくて本当に良かったよ。

以来、タスマニアデビルはゆっくりと個体数を増やしていきました。

現在ではタスマニアデビルが家畜への脅威だというのはまったくの見当違いだったといわれています。

2回目のそして現在進行形の絶滅危惧

現在、タスマニアデビルはデビル顔面性腫瘍疾患Devil facial tumour disease/DFTD)という伝染性のガンにより個体数が激減しています。

野生のタスマニアデビルの数は80%以上減少しているといわれており、このままいくと10年後には野生種はいなくなってしまうかもしれないとの悲観的な推測もあります。

この病気は1996年にオランダの写真家がタスマニア北東部で顔面に腫瘍のあるデビルを撮影したことにより広く知られるようになりました。

この病気は口の周りの腫瘍から始まり、次第に口の中や下顎、目の周り等に広がっていき摂食障害による飢餓、臓器不全などなどにより6か月以内に死亡してしまいます。

この病気の伝染経路にはタスマニアデビルのある習慣が非常に密接に関係しています。

タスマニアデビルたちは餌の取り合いなどで互いに噛み合う習性があります。

噛み合う相手がその腫瘍を持っていた場合、噛んだ歯にその腫瘍の細胞片がついてしまいそれによって病気が広がっていきます。

また病気のデビルが食べていた獲物を共有した場合やこの病気で死んだデビルを摂取することによっても病気が広がっていってしまいます。

現在、野生動物保護園や動物園での繁殖プログラムや病気のデビルがいなくなった場所への健康な個体の再導入、ワクチンの開発などさまざまな方法でタスマニアデビルを絶滅から防ぐための方策がとられています。

タスマニアデビルを絶滅の脅威にさらさせているのはDFTDだけではありません。

道路脇に死んでいる動物を食べに集まるタスマニアデビルが自動車に轢かれてしまい死亡するというケースは、絶対個体数が減った現在では以前よりも少なくなりましたが、依然としてタスマニアデビルの個体減少の主な原因のひとつです。

タスマニアで夜間のドライブをする場合はタスマニアデビルをはじめとした野生動物たちに十分注意して、安全運転を心がけてください。