タスマニア北西部の町シェフィールド
ローンセストンから西へ約90 km、フェリー発着港のあるデボンポートからは南へ約30 km。シェフィールド(Sheffield)はタスマニアの北西部にある牛や羊の牧場や野菜作りなどの農業を主産業とする人口1,600人程の小さいな町です。
この町はローンセストンからクレイドルマウンテンへの往復時に休憩する場所として、且つ壁絵の町として近年急速に多くの旅行客が立ち寄る場所になってきました。
町の目の前に聳えるのがマウントローランド(Mt Roland/標高1234 m)という岩山。この山はこの辺り一帯のシンボルのような山であり緑豊かな肥沃な農地の先に聳える岩山の景色は見飽きるということがありません。
シェフィールドが開かれたのが1859年になります。
名前の由来
シェフィールドという名前はエドワード・カー氏(Edward Curr/ 1 July 1798–16 November 1850)が名付けました。
エドワード・カー氏は入植者であり政治家だった人です。
彼はタスマニア北西部のサーキュラーヘッド(Circular Head)に拠点をもつヴァン・ディーメンズ・ランド社(Van Diemen’s Land Company) の初代社長であり、ヴァン・ディーメンズ・ランド(Van Diemen’s Land/当時のタスマニアの名称)の立法評議会(Legislative Council)のメンバーの一人でした。
エドワード・カー氏の生まれ故郷が英国シェフィールドであったことから、彼はこの地を生まれ故郷と同じ名前、シェフィールドと名付けました。
ちなみに本家シェフィールドはイングランド中部の工業都市です。シェフィールド市のみの人口は58万人強。現在のタスマニア州全体の人口が52.4万人。英国シェフィールドのメトロポリタン地区の人口は157万人とタスマニアにあるシェフィールドとは比べ物にならないくらいの大都市です。
壁画の町
シェフィールドを有名にしているもののひとつに壁一面に描かれている絵があります。
シェフィールドは別名壁画の町(Town of Murals)といわれていて、町中いたるところに描かれている絵が旅行者の目を楽しませてくれています。
壁画で町おこし
もともとシェフィールドは農業以外取り立てて目立つものがない町でした。
シェフィールドがあるケンティッシュ・カウンシル(Kentish Council)では農業以外で町おこしができないかといろいろと検討していました。
その時に目にとまったのが カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバー島南部の東海岸にあるシュメイナス(Chemainus)という小さな町の成功例です。シュメイナスでは壁に絵を描いたことにより町を荒廃から救い出すことができました。
このシュメイナスのように町の壁に絵を描いたら人が来てくれるのではないか、と考え1986年12月に最初の壁画が描かれました。
以来壁画は増え続け、現在シェフィールドには140以上の壁画が描かれています。
壁画フェスティバル
町の中心、ビジターセンターの隣には壁画公園(Mural Park)があります。
この公園で毎年4月、壁画フェスティバル(International Mural Fest)が開かれます。
9人のアーティストたちによる公園の大きな板キャンバスに描かれた壁画は訪れる人たちを毎年楽しませてくれています。
壁画以外の楽しみ
シェフィールドは壁画だけではありません。
毎年10月にはタスマニア中世フェスティバル(Tasmanian Medieval Festival)が開かれます。
これはは中世ヨーロッパの鎧やドレスなどを着るコスチュームパーティーみたいなものだったのですが、毎年参加者と規模が多くなってきてこれからの目玉行事になるかもしれません。
また町中にはカフェなども充実してきていて、落ち着いた雰囲気の中ゆったりとした時間を過ごせます。
それではシェフィールドの落ち着いた町並みと壁画をギャラリーにしていますのでご覧ください。